◆コラム「喜々快々」(14年10月号)
▼「寅さんシリーズ」と同様の人気を得ていた「釣りバカ日誌」を惜しまれながら11作で終わらせた栗山富夫監督が、全く異なる「福祉の世界」を描いた「ホーム・スイートホーム」は自主上映の形で今、全国各地を巡っている。
▼そのパートUのロケにエキストラで出ないかと誘われてナルクの仲間と松山市を訪れた。財津一郎扮する痴呆の老人が戦友の葬儀で突然、軍歌を歌い出す感動の場面。OKが出るまでなんと3時間も費やした。
▼その間「ナルク愛媛」の会員がボランティアで交通整理をしたり、ポリタンクやポンプを借りてきて懸命に雨の場面をつくる手助けをするなど大わらわの活躍。聞けばこの場面のために空き家になっている旧家を探しだし、2日がかりで大掃除して備えたのだとか。
▼帰途、松山駅で珍しい駅弁を見つけた。昭和15年の弁当を再現した懐かしい「汽車辨当」。真白いご飯の真ん中に梅干しが一つ入った日の丸弁当で、おかずも掛紙のデザインもその当時と全く同じ。値段もそのまま「金四拾銭」で復刻されているが、本当の値段は630円だった。
▼計算すると1575倍となる。今年の大卒初任給は20万円。当時はどれくらいだったのだろうか。
(高畑 敬一)
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